長谷川辰雄さんのこけし

長谷川辰雄さんのこけし

津軽大鰐系、長谷川辰雄さんの戦前のこけし。
おそらく昭和16年頃ではないかと思います。

辰雄さんは昭和元年に描彩をはじめ、
大鰐の工人達の挽いた木地に、
表情豊かな顔を描き、
様々な花を描きました。
昭和10年頃からは、
たまに自分で木地を挽き、
芥子、菖蒲、旭菊、木目等の描かれた自分の型も作りました。
このこけしはその頃のものです。
消えてしまってほとんど見えませんが、
胴には菖蒲が描かれています。

状態は悪く、胴模様も消えて、木地も真っ黒です。
それでもそんなことはなにも気にならない程、
強くたくましい表情をしています。
戦後の辰雄さんのこけしにはない、
凄みを感じます。
状態が良いか悪いかなんて表面的な事は、
良いこけしの前では関係ないのでしょう。

こけし棚に収まるこのこけしは、
圧倒的な存在感を放っています。