東北旅行その1「藤三旅館と大沼岩蔵」

東北旅行その1「藤三旅館と大沼岩蔵」

先日の東北旅行の中で、
花巻温泉郷の中にある鉛温泉に行ってきました。

明治の終わり頃鉛温泉には
湯治客相手に売る日常食器や土産物を挽くために
たくさんの鳴子の木地師達がきて働いていました。
僕の大好きな大沼岩蔵は木地挽きの技術を買われ、
最初に鉛にきた鳴子の工人だと言われています。
岩蔵は自身で木地を挽くだけでなく、
ここ鉛の藤井幸左衛門に木地挽きを指導していたようです。
岩蔵は僕自身がこけしを蒐集するきっかけになった、
鳴子の桜井昭二さんの師匠でもあります。
昭二さんの敬愛していた岩蔵が
どんなところで働いていたのか見てみたい。
そんな気持ちもあり、
ここ鉛に泊まりにきたのです。

岩蔵が働いていたころは四軒あった旅館も戦前の火災で全焼し、
後に藤三旅館一軒に集約されました。
藤三旅館はどこかで見た古い写真と何も変わらずに、
今でも鄙びた良い空気を醸し出しています。
旅館には4つの風呂があり、
中でもすごかったのが「白猿の湯」と呼ばれる、
日本で最も低い場所にある立ち湯です。
白い猿が岩窟から出てきて
木の根元から沸き出ている湯で
手足の傷を癒しているのを見つけたというところから、
「白猿の湯」と呼ばれているそうです。
立ち湯ということもあってか、
身体への熱の伝わり方が早く、
芯から疲れが抜けて行くのを感じました。
天井がとても高く、気持ちが良い。
昔の人達はこんな良い湯に浸かって、湯治をし、
帰りに土産物屋でこけしを買っていたんだなあと思うと、
なんだか羨ましい気持ちになりました。

写真は岩蔵こけしと藤三旅館湯治部の階段です。