桜井昭寛さんの岩蔵型

桜井昭寛さんの岩蔵型

先日の鳴子訪問にて
桜井昭寛さんの岩蔵型を持ち帰りました。
昨年の全国こけし祭りで
最高賞を受賞した岩蔵型と同型のもので、
訪問の際にお願いしようと考えていたのですが、
昭寛さんはそんな僕の行動を読んでか、
先に作って待っていてくれました。
昭寛さんのそんな気遣いに、
いつも心が暖かくなります。

日本こけし館の深沢コレクションには
岩蔵のこの型があるのですが、
このこけしはその岩蔵をただ写しただけのものではなく、
昭寛さんというフィルターを通して表現した
新しい、現代の岩蔵なのだと感じます。
それでも「伝統」という深く大きな空気を放っているのは、
常にこけしの美の本質を探りながら作っているからなのでしょう。
それはお父さんであり師匠の昭二さんも同じでした。
太い胴に蕪頭で、頬はもち肌のように白い。
迷いのない伸びやかでたっぷりとした描彩は、
心を大らかな気持ちにさせてくれます。
そして夕暮れ時、
部屋の片隅にあるこのこけしの美しさを見て、
思わず息を飲みました。
そんなこけしはなかなかないように思います。

夜鳴子の皆さんと一緒に御飯を食べたのですが、
その中で昭寛さんは
「人形が好きだから、
作ることが楽しくて仕方がない。
一回何かを作り始めると
そいつをぐぐぐぐっと突っ込んでいきたくなる。
追いつめたくなる。
苦しいけど、本当に楽しい。」
そういって大きな声で笑いました。
とても力強い言葉です。
その言葉が物づくりのすべてを物語っています。

しかしこの写真では、
残念ながらこのこけしのすごさを伝えきれていないような気がします。
もどかしい。