佐藤喜一のこけし

佐藤喜一のこけし

佐藤喜一のこけし、1尺3寸。
昭和14、15年に福島県の飯坂温泉で作られたものです。
署名はありません。
祭りの日、傷だらけの喜一は、
あるところから自分の元にやってきました。

可愛さや癒しの要素は
このこけしにはありません。
あるのは圧倒的な凄みです。
このようなこけしは本来僕の好みではないのですが、
それすらも覆す程の強さを放っています。
ねっとりと描かれた表情は、
どこか呪術的で、
ずっと見ていると吸い込まれそうになります。
大きな頭はゆるいはめ込み式になっていて、
手にとるとくるりと向きを変え、
そんな動きががこの表情の凄みをいっそう際立てています。

先日の鳴子訪問や
途中に立ち寄った仙台のカメイ美術館で、
戦前に作られたこけしをたくさん見てきましたが、
そのほとんどのこけしから、
得体の知れない強さのようなものを感じました。
情味やグロ味、甘さや美しさや凄み。
そのどれもが強いのです。
でもその強さとはいったいなんなのでしょう。
戦前という時代がそうさせているのでしょうか。
使う道具の違いでしょうか。
僕にはまだわからずにいます。
そしてこの喜一からも同じように、
得体の知れない強さを感じるのです。

こけしの起源とはなんなのだろう。
こんなこけしを見ていると、
考えずにはいられなくなります。