優しい志をもったこけし

優しい志をもったこけし

こけし祭り会場にて求めた、
津軽系長谷川優志さんのこけし。
おじいさんである長谷川辰雄の型です。
戦前、この型の木地は辰雄の兄、
佐々木金次郎が挽いていたようです。

二年ほど前に
津軽藩ねぷた村内の健三さんとの工房にお伺いした際には、
島津彦三郎型などを作っていただきました。
その頃の優志さんのこけしは、
まだ作り始めてあまり時間も経っていないせいか、
瑞々しいながらも、可愛くなりすぎ、
少し硬くぎこちない印象を受けました。
そしてその硬さはこの辰雄の型を作った時に
顕著に出るものだったように思います。
ただそんな硬さやぎこちなさは 初期作の大きな魅力でもあり、
そこからどう変化していくのかを見ていくのも
こけし蒐集の魅力のひとつでもあります。
今回の優志さんのこけしは、
無理なく、柔らかく、木地に染料のよく染み込んだ、
とても風格のあるものに変貌していました。
以前よりも荒く挽かれた木地が
素朴な表情を引き立て、
硬さとは無縁のように感じます。
頬はピンクに染められています、
雪遊びでもしていたのでしょうか。
ほんのり感じる寂しさは、
もっと遊びたかった気持ちの表れでしょうか。
見れば見る程、
津軽の子供そのものという感じがして、
心がほぐれていきます。

お父さんの健三さんのこけしは
津軽の土着性むき出しの力強いものなのですが、
優志さんのこけしからは、
優しさを感じます。
名前の通り、優しい志をもったこけしなのです。

会場で売られていたこけしは
どれも素晴らしい出来でした。
その中でも、この辰雄型は優志さんの傑作かもしれません。
やっぱりこけしは楽しい。