遊佐福寿さんのこけし(西田勘治)

遊佐福寿さんのこけし(西田勘治)

昭和50年代に作られた遊佐福寿さんのこけし。
西田コレクションの高橋勘治型(西田勘治)です。
福寿さんの勘治型は、
日本こけし館にある深沢コレクションの勘治型(深沢勘治)が殆どですが、
希に西田勘治を作っていたようです。
胴模様の菊の上部横に、二対の添え葉が付いているのが特徴です。
蕾の添え葉が一筆なのは、
西田勘治に特に忠実な作で、
多くの物は三筆の葉になっています。
肩が丸くたっぷりとした形態に、
透明感のある伸びやかで華やかな描彩。
品のある表情、風格。
福寿さんが最初に勘治のこけしを見たのは昭和27年。
土橋慶三さんが鳴子に持参した西田勘治でした。
それから四半世紀ほどの間様々な試行錯誤を繰り返し、
このこけしは作られました。

名品と言われるこけしを写すことは、
簡単な仕事ではありません。
いくら名品といえども、
機械的に写しただけのこけしからは、
生命力は失われ、
硬くてつまらないこけしになりかねません。
このこけしから感じる躍動感や瑞々しさは、
機械的な写しとは無縁です。
高橋勘治が福寿さんの肉体を通して
このこけしを作ったんじゃないだろうか。
そう思わざるをえないほどの素晴らしいこけしです。
完璧。

福寿さんが亡くなられて10年以上経った今も、
鳴子の福寿の店の店先には作業台や轆轤があります。
ただそこには鉢植えや植物が置かれ、
福寿さんの不在を感じ、とても寂しい気持ちになります。
今はもう作らなくなってしまった息子の寿彦さんが
また轆轤に上がる日がきてほしい。
切にそう願っています。