富山土人形

富山土人形

先日参加した竹とんぼの会には、
富山土人形の工房のひとつである土雛窯の皆さんが、
富山からいらっしゃいました。

富山土人形は江戸時代末期に名古屋から伝えられ、
現在まで作られてきました。
明治・大正期には7~8軒程の工房があり、
天神様、お雛様、恵比寿大黒などの素朴な土人形がたくさん作られていましたが、
空襲で型が消失し、その流れの中で職人も姿を消し、
土雛会の皆さんの先生である渡辺信秀さんただ一人となりました。
現在は渡辺さんはもう引退されていますが、
土雛窯さん以外にも、
お弟子さん達がそれぞれ工房を持ち、
精力的に制作をしています。
最盛期程ではありませんが、
土人形の産地の中では、良い状況にあるのではないでしょうか。
今回いらっしゃった土雛窯さんは、
明治、大正の古い人形の復興に力を注いでいて、
その頃の風合いをどのようにすれば再現できるのか、
研究に研究を重ね、
ようやく納得できるものが作れるようになったようです。
持ってきていただいた人形のどれもが
活き活きとした色、形をしていて、
日々の研究の成果がそこに見て取れました。

ある時、
渡辺さんの工房の床下からなくなったはずの古い型が
驚く程大量に出てきたそうで、
その中には「天保3年」と描かれたものもあったようです。
もしそれが本当に天保3年だとしたら、
とてつもなく大変なことです。
富山土人形の起源は130年ほど前と言われているので、
天保3年ということはそれよりもさらに40年ほど古くなるのです。
その型を元に作られたものも今回お待ちいただいていたのですが、
入手することはできませんでした、残念。
ですが、素敵な小さい天神様が自分の元にやってきました。
素朴でおごった感じがなく、愛らしい天神様です。

最後に会の中で土雛窯の方がおっしゃっていたこと。
無印良品が正月に売り出す「福缶」に富山土人形もあって、
記念に自分のが当たれば良いなと思ってお店に行ったのですが、
あっという間に売り切れ。
後日ヤフーオークションに福缶に出した人形が出ていて、
世の中うまく出来てるなあと思ったそうです。
郷土玩具の世界では、
前々からこれと似たような状況は起こっていて、
目にするたびに寂しく、悲しく、憤りを感じています。
どういった気持ちで制作をしているのか、
考えたことがあるのだろうか。
僕は心のある人間が作っているものだということを忘れずにいたい。
そう思います。