こけし祭りの未来に今できること

こけし祭りの未来に今できること

鳴子温泉にて9月2、3日に開催された
第63回全国こけし祭りが終わりました。
ここ3年は小さな双子を連れての参加でしたので、
会場をくまなく見たりする余裕はありませんでしたが、
もう3歳になったこともあって、
こけしへの絵付けも楽しめるようになりましたし、
このこけしがかわいい!とか、こわい!などという反応もあり、
久しぶりに祭りを楽しめたような気がしています。
昨年会えたゆるキャラのなる子ちゃんとも再び会えて嬉しそうでした。
今回のコンクールで最高賞を獲られた早坂利成さんの足踏み轆轤によるこけしも、
これからのこけし界を左右するようなこけしだったように思います。
あのこけしを起点にこけしの本質へと潜る工人が多く出てくることを
期待しています。

2日に行われた座談会では
西荻イトチの伊藤さんと一緒に司会のような役割で出させていただきましたが、
前日まで風邪をこじらせ寝込んでいたので、
いつも以上の鼻声でお聞き苦しいものだったのではないでしょうか。
聞いてくださった皆様、申し訳ありませんでした。
そしてありがとうございました。

座談会のテーマは「こけし祭りの未来に今できること」。
ここ数年のこけし祭りは、
第3次こけしブームとその余波によって
たくさんの若いお客さんを集め、
多くの賑わいを見せています。
しかし、その内情は
後継者不足により人手が足りず、
いくつもの業務を少ない工人と役場の方々がこなすことで、
なんとか開催できているという状況です。
小学校の体育館という大きな会場の設営も
ほぼ工人だけでやっているのです。
どう見てもひとりひとりへの負荷がかかり過ぎています。
その問題をどうにか解決しなくては、
10年後、5年後ですら、こけし祭りはできなくなっているかもしれない。
そんな危機感から鳴子の工人の方々に
いま、こけし祭りをどんな風に思っているのか、
これから先、どうしていくべきか聞いてみたいと思い、
「こけし祭りの未来に今できること」という
テーマでいろいろとお話をお聞きしました。

座談会に参加してくださった工人は
大沼秀顯さん、柿澤是伸さん、早坂利成さん、松田大弘さん。
みなさん実直に、それぞれの想いを話してくださったことで、
たくさんの問題が浮き彫りになり、
その問題の根の深さを知ることになりました。
どこまでここに書くべきか悩むところですが、
議題として上がったのは

・後継者がいない
・予算がない
・工人と町の人との間に温度差がある

このようなことです。
どれもすぐに解決できる簡単な問題ではありませんし、
僕がどうにかできることではありません。
僕が知らないこともたくさんあるのでしょう。
鳴子温泉がある大崎市は
後継者がいない現状をどう見ているのか。
僕が知る限り、
20代の工人は松田大弘さんただ1人(修行中を入れたら2人)。
宮城県内の他のこけしの産地では、
市が募集をかけ、工人の育成を行っていて、
そのうちの何人かは、工人として立派に活躍しています。
だからできないことではありません。
大崎市が鳴子のことを、こけしのことをもっときちんと扱ってくれるなら、
予算の問題も多少は良くなってくるかもしれません。
そして町の人との温度差。
こけしが、この祭りが、鳴子という町にとって
とても大切なものであることを、
もっともっと町の人にも気づいてほしいし、知ってほしい。
鳴子にはこけしがあるということを誇りに思ってほしい。
お土産屋さんも、東北以外で作られる近代こけしを置くのではなく、
鳴子のこけしをもっと置いてほしいし、
ホテルや旅館でもきちんとしたこけしが買えるようにしてほしい。
町全体で一丸となってこけしを支えてほしい。
そうすればこけしは、この祭りは続いていくはずです。
続いてくれなければ困るのです。

お話くださったみなさんが口を揃えて言っていました。
「鳴子のこけし祭りは、特別なんだよなあ。」
僕もそう思います。

写真はうちの双子(3歳)が絵付けしたこけし。
木地は高橋輝行工人。